安全に対する考え方

遊具とあそび場の考え方

あそび場の目的は、より豊かなあそびをより安全に実現することにあります。しかし、あそびの欲求は成長にともなって多様化し、あそび場にもとめられる内容も大きく異なります。遊具は、あそびを通じて「こころ・頭・からだ」を最も躍動させ体験し学んでいく1才から15才頃の子どものあそびを引き出し、その子どもたちの運動能力に応じた安全が確保されたものでなければなりません。ボーネルンド・グループの遊具は、子どもたちのあそびをより効果的に刺激し、より安全に遊ぶことを目的に選定されています。

安全に対する考え方

子どもは、遊ぶことで小さなケガを繰り返し、大きなケガに至らないための危険回避能力を身につけていきます。むしろ、そのような経験をより多く獲得できるあそび場こそが求められているのです。 しかし、子どもの能力を無視したあそび場は、子どもを取り返しのつかない危険にさらしてしまうことへとつながります。
日本においては、先進各国のように工業規格において公的に認められた安全基準がありませんでした。そのようななか、遊具の経年劣化や点検不備による事故が増加し続け、2008年8月(社)日本公園施設業協会による「遊具の安全に関する基準」指針が改訂されました。(株)コンパンプレイスケープは、子どもの豊かなあそび場を創造する企業として、(社)日本公園施設業協会(以下、「JPFA」という)にも所属し、JPFAの基準に準拠する形で遊具の設置やあそび環境を開発しています。
ボーネルンド・グループは、子どもの行動、運動能力、発達段階、そして事故事例の分析などを行い、そのうえで、子どものあそびの可能性と安全性を最大限に追求するあそび場づくりを行っています。

各国安全基準準拠について

コンパン遊具の研究者は、欧州規格(EN)の安全基準策定委員としても、遊具の実質的な安全基準の制定に深く関与しています。製品がEN1176に準拠しているとともに、安全性を確保するための製品の品質管理において、品質保証システムの国際規格ISO9002、環境マネジメントシステムの国際規格ISO14001に適合。さらに、EMASの認証も得ています。
EMAS(Eco-Management and Audit Scheme)とは、企業活動における環境パフォーマンスの継続的な改善を目的に、93年7月に施行、95年4月から運用が開始されたEUの規則です。工場、事業場が環境マネジメントシステム(EMS)を構築し、内部監査の結果を環境声明書にまとめ、それを外部の公認環境認証人が検証して公表する枠組みで、EMSの継続的改善のみで環境パフォーマンスを直接問わないISO14001より一歩踏み込んでいます。


製品の安全性に関する特長

1. 安全性を高める明快な色彩

幼い子どもほど目から脳に伝わる情報の速度は遅く、判断にも時間がかかるといわれています。激しく動きまわる子どもの目に、そこに何があるのかをより明確に伝える色彩(ファーストカラー)によって安全性を高めています。

2. だれのあそび場なのかを区別する色彩

コンパンカラーと呼ばれる色彩は、クレヨンのなかで幼児が最も好んで使用する赤、青、オレンジ、黄などを基本としています。色彩心理の観点からも、コンパンカラーは、幼児にとってそこが自分のあそび場であることを無言のうちに知らせ、ティーンエイジャーには、それが幼児のものであることを明確に示すことで場所を区別しています。その結果、幼児が安心してあそびに集中することができるのです。

3. トラップをつくらない構造

コンパン独自の曲線による形状は、子どもを思わぬ危険に誘い込むトラップ(わな)、たとえば、挟み込みを起こす鋭角な隙間や突起、てこの発生、剪断などを一切排除しています。突起物を一切排除することで、動き回る子どもの体や衣類がひっかからず、バランスを崩して転倒したり、落下したりという危険を防止しています。

4. すべての構造が確認できる

すべての部材がどのように固定されているかが見える構造によって、子どもでも安全確認が容易にできます。専門家やおとなが判断しなければ安全性が確認できないような遊具は、少なくとも公共物としては適しません。

5. 保守の合理化

鉄製遊具に見られる溶接やFRP遊具に見られる一体成型ではないので、一部分の破損に大掛かりな補修工事や全面交換の必要がありません。設置後使用するうちに磨耗する部材も合理的に交換が可能です。このことは、常に本来の安全性の維持管理がしやすいことを示しています。


リスクとハザードの考え方

あそび環境を考えるうえで、安全性の確保と子どもの成長に必要な身体的チャレンジという一見相反するものを両立させることは、とても重要なことです。
子どもを取りまく環境においての危険性を、子ども自身が避けられる危険「リスク」と避けられない危険「ハザード」に分けて考える必要があります。能力に合わせてリスクに挑戦することは重要なあそびのひとつです。挑戦を克服したときの達成感は成長の源泉です。子ども自身の能力は子ども自身で学び取るしかありません。一方「ハザード」は、子どもが避けられない危険であり、重大な事故につながる危険です。あそび環境、遊具を考える際、リスクは適切に管理し、ハザードは徹底的に排除しなければなりません。

あそび環境の安全性の確保のために

遊具の安全性の確保とともに、それらを設置する場所の安全性も確保しなければなりません。

1. 立地 交通状況などを含めたあそび場周辺の状況確認
2. スペース 面積・地形などの環境の状況確認認
3. ゾーニング 植栽などもふまえたあそびのゾーニング
4. 安全スペース  遊具の設置安全域確認と選定
5. 管理形態 あそび場の管理・運営形態確認

リスク

わくわくしたあそびの要素のひとつとなるリスク。子どもの発達にとってあそびの中にはなくてはならないものです。子どもにとって冒険や挑戦の対象となります。子どもは、小さいリスクへの対応を学ぶことで経験的に危険を予測し、事故を回避できるようになります。また、子どもが危険を認識したうえで行うことは、リスクへの挑戦となります。

ハザード

ハザードとは、あそびが持っている冒険や挑戦といったあそびの価値とは関係ないところで事故を発生させる恐れのある危険性。また、子どもが予測できず、どのように対処すればよいか判断不可能な危険性。子どもが危険を分からずに行うことはリスクへの挑戦とはならず、重大な事故につながる場合があります。

リスクとハザードの考え方

遊具の構造と強度

遊具を安全に使用するためには、遊具を構成する部材特性を認識し、それぞれの標準使用期間をふまえ維持管理していかなければなりません。
遊具を構成する部材には、標準使用期間を通して使用される構造部材と、期間内においても修繕することを前提とする消耗部材があります。標準使用期間は、通常の気象条件、立地条件、利用状況および適切な維持管理状況のもと安全上支障がなく利用することができる期間として、構造部材として使用する素材の特性等を考慮し、製造者が遊具の設計・製造時に設定しています。

※推奨交換サイクルは維持管理を行うための目安である。点検の結果、磨 耗などが確認された場合は、磨耗の度合いや推奨交換サイクルを参考 に取り替える。
※スプリング遊具のスプリングは、目視診断の結果、亀裂などが確認され ない場合でも内部で金属疲労が進んで、破断が生じることがあるため、 推奨交換サイクルを基本に取り替えることが安全確保の観点から望ましい。


遊具の対象年齢表記について

発達段階によって子どもの運動能力や危険回避能力は大きく異なるため、利用者である子どもの年齢に応じた行動や身体機能に配慮して、あそび環境の設定を行う必要があります。能力に適さない遊具の利用は、事故や衝突事故につながるため、発達段階に応じたゾーニングを行います。
JPFAの安全規準に基づく「JPFA安全利用表示シール」をご用意しています。

PAGE TOP